ほんとく日記

院士と国医大師

中国の鍼灸界では、高名な先生には「院士」「国医大師」という称号をもつ先生がいます。

この院士と国医大師、何が違うのでしょうか?

院士は科学技術、国医大師は中国医学(中薬や鍼灸)の優れた者に与えられる称号です。

 

今回は「院士」から御紹介いたします。

 

院士はある国家が設立した科学技術の最高学術の称号である。一般には終身栄誉で、中国では中国科学院と中国工程院の2つがある。

院士は中国では元来「学部委員」と称され,一定領域の研究専門家を指す。選出には条件があり、一般的には国家科学技術進歩二等賞、自然科学二等賞以上が必要で、3度の選考を経て院士となる。

中央研究院は中華民国および国民政府の台湾移転に伴い、台北市へ移転し、そこで再建された。一方、北京では中華人民共和国の建国後、残った施設や人員により中国科学院が創設された。中国で最も早い院士は1948年3月に選ばれた中央研究院院士で、81人が初代の中国院士となった。中には自然科学、人文社会科学学科の著名学者が含まれ、中央研究機関以外には北京大学、清華大学、南京大学、浙江大学が多かった。

1994年,中国工程院も院士制度を採用。2008年12月までに中国科学院院士は1100余人,中国工程院院士は約700名,その中には両院院士の資格を持つ者もいる。工程院院士にはビルゲイツ、日本人は科学院、工程院共に4名ずつ。

 

高齢の院士の健康のため、80歳を過ぎた院士には「資深院士」の称号を与える。

資深院士は資深院士手当があるが、役職の職務はなく、院士の選考に対する推薦効力もない。院士会議にも自由参加である。2009年1月1日から中国中央政府は大幅に両院院士の手当て基準を引き上げ元来各自毎月200元であったものを1000元とし、今後は認定された当月より手当が支給される。資深院士手当は平均で毎年1人10000元、資深院士手当には所得税はかからない。

 

中国国内の院士選出基準

科学技術領域において系統的かつ、創造性のある重大な貢献を為し、祖国を愛し、学風も正統で、中国国籍を有する研究員。教授もしくは同等の職務を有する学者で、専門家(香港、マカオ特別行政区、台湾及び他国の中国籍学者や専門家を含む)が推薦され中国科学院院士に選出され得る。

隔年60名を超えない範囲で選出される。院士大会の常設指導者が確定する。院士候选人は以下二種の推薦を受けて決定され本人の申請は受理されない。

(一)院士が直接候选人を推薦する。毎回、各院士の推薦人数は2名を超えてはならない。3名以上の院士の推薦は有効である。

(二)国内の各科学技術研究機関、高等院校、中国科学協会所属の一級学会による組織による推薦。この場合は候選人は必ず主管部門、中国科学協会、省、自治区、直轄市の組織が先ず選定する。各学部常務委員会組織院士は候選人に対して評審と選挙を行う。公明正大で客観的な原則に随い全面的かつ科学的に評価する。選挙は無記名投票で、各学部の選挙投票に参加する院士の人数は、本学部の院士人数の半分を超えなければならない。投票人数の三分の二の候選人の賛同票を得られれば当選となる。選挙結果は各学部の常務委員会の検査により確定され、院士大会常設機構の審議の後、書面形式により全体院士へ通知される。

『中華人民共和国国籍法』第三条では中華人民共和国は二重国籍を承認しない規定があるため、院士に外国国籍が加えられた後は自動的に院士の称号は放棄される。院士の個人行為が国家の法律を脅かし、国家の利益や科学の道德を喪失して院士の基準に背く場合は、5名以上の院士の書面による提議により称号剥奪を申請でき、常務委員会が受理した後審議を行い、全体の院士投票により剥奪の是非を決定する。内容は当選時と同じ。

外国籍院士の基準

中国の科学技術事業に対して重要な貢献を成し、国際的にも高い学術地位を有する外国籍の学者は、中国科学院外国籍院士に推薦され当選することができる。外国籍の院士の選挙は2年に一度である。毎回の選挙では、各院士が候選人を1人推薦し、少なくとも5名の院士の推薦が有効となる。

外国籍院士は全体の院士による無記名投票で選挙が行われ、その選挙と院士の増選は同一年内に行われる。投票選挙に参加する院士の人数は、全体の院士の人数の1/2を超えなければならず、賛同票が投票人数の2/3を超えた候選人が当選する。外国籍院士は中国科学技術の発展と中国科学院学部の事業に発言権がある。中国科学院学部組織に関する会議と学術活動に出席することができる。中国科学院学部の出版物を得ることができる。外国籍院士には院士候選人と外国籍院士の推薦権及び選挙権・被選挙権はない。外国籍院士は中国国籍取得後、直接院士或いは資深院士になることができ、同等の義務・権利・待遇を受ける。

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